オーストラリアが世界初の16歳未満のSNS仕様禁止法を施行

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16歳未満“SNS禁止”へ──豪で世界初 「スマホから離れるのはいい」「政府が決めるものでない」 “抜け穴”の懸念も『every.特集』

11/23(日) 13:03配信日テレNEWS

16歳未満“SNS禁止”へ──豪で世界初 「スマホから離れるのはいい」「政府が決めるものでない」 “抜け穴”の懸念も『every.特集』(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース
オーストラリアで12月から、国家レベルで若者のSNS利用を規制するという世界初の施策が始まります。賛否が渦巻き、規制の実効性には疑問の声が上がります。同様の規制は他国でも検討中。一人ひとりがSNSと

オーストラリアで12月から、国家レベルで若者のSNS利用を規制するという世界初の施策が始まります。賛否が渦巻き、規制の実効性には疑問の声が上がります。同様の規制は他国でも検討中。一人ひとりがSNSとの付き合い方を考える必要がありそうです。 【動画をみる】世界初 オーストラリアで16歳未満“SNS禁止”へ

■依存症やいじめが社会問題に

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アルバニージー首相(去年) 「SNSは子どもたちに害だ。これに終止符を打つ」 オーストラリアでは12月10日から、16歳未満の子どもがSNSを利用することを禁止する法律が施行されます。対象となるプラットフォームはX・Instagram・TikTok・YouTubeなどです。 シドニーで話を聞いた14歳の生徒は「(禁止は)賛成できない。SNSは欠かせないもの。朝起きたら真っ先にチェックします。スナップチャット、TikTok、全部」と言います。 オーストラリアではSNSの利用をめぐり、依存症やいじめ、有害コンテンツへのアクセスが社会問題になっています。国家レベルで若者のSNSの利用を規制する世界初の取り組みが、まもなく始まります。

■SNSを通じて「性的な脅迫」が

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法案成立のきっかけのひとつとなった事件がありました。 メルボルン郊外に住む、ウェイン・ホールズワースさんを訪ねました。「これは息子が使っていたスマホです」。17歳だった息子のマックさんが使っていたスマートフォンを、ウェインさんが見せてくれました。 2023年に撮影された写真の中でマックさんは、ウェインさんの隣で笑顔を見せていました。 ウェインさん 「休暇で家族旅行に行った時、息子が 『一緒に写真を撮ってほしい』と頼んできました。息子はすでに命を絶つ決意をしていたのだと思います」 この写真の撮影から約1か月後、マックさんは自ら命を絶ちました。きっかけは、SNSを通じて性的な脅迫を受けたことでした。

■説得も…男は裸の写真を拡散

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15歳だったマックさんが、18歳の女性を名乗る人物とSNSでやりとりをするうちに、裸の写真が送られてきたといいます。そしてマックさんも相手から求められ自身の裸の写真を送ると、電話がかかってきました。 ウェインさん 「息子はその女性だと思い、電話にでました。ところが電話をかけてきたのは別の州に住む男だったのです」 すると男はマックさんに対し、「(日本円で)約5万円を支払わなければ裸の写真を流出させる」と脅してきたといいます。マックさんはその金額を支払いましたが、さらなる支払いを要求されたことから、父親のウェインさんに相談しました。 ウェインさんは男に脅迫をやめるよう電話で説得しましたが、結局、男はマックさんの裸の写真を拡散したのです。 ウェインさんは「息子は内向的になり、引きこもるようになりました。誰とも話したがらず、外に出ないようになりました」と振り返ります。

■逮捕の男、別の子どもにも脅迫

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写真が拡散され、別人のように変わってしまったというマックさん。おととし10月、17歳の若さで自ら命を絶ちました。 マックさんを脅迫した47歳の男は性的脅迫の容疑で逮捕。別の子どもに対しても、SNSで脅迫していたことが明らかになりました。 ウェインさん 「毎日息子に会いたいと思っています。いつも彼の声が聞こえる気がするのに、姿はもう見えません。SNSが禁止されていれば、今も生きていたはずです」

■世論調査では6割以上が「支持」

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子どもの命まで奪われる事態となり、地元メディアによると、オーストラリアで去年8月に行われた世論調査では6割以上の人が、若者のSNSへのアクセスを制限することを支持。議会での議論を経て、去年11月に法案が可決されました。 その方法として政府は各SNS運営会社に対し、16歳未満が新たにアカウントを作れないようにする措置を講じるよう求めていて、違反した場合は日本円で最大約50億円の罰金が科せられます。 法規制の対象である子どもや親に、罰則はありません。

■14歳「SNSで友達ができた」

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子どもたちはどう受け止めているのでしょうか? 14歳の生徒 「(禁止は)全く必要ない。昔は内向的で友達もいなかったし、社交的ではなかった。でも今は、SNSを通じてたくさんの友達ができました」 15歳の生徒 「スマホから離れるのはいい時間だと思う。家でもスマホ、夜もスマホ、公共交通機関でもみんなずっとスマホを見ているし、スマホやSNSから離れるのはいいことだと思います」

■政府の介入に否定的な保護者も

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親はどうみているのでしょうか? 「すばらしいと思う。3人の幼い子どもがいますが、SNSをやらせたくありません。いじめなどが怖いから」と話す母親がいる一方で、政府の介入に否定的な声もあります。 別の母親 「親は子どもたちのスマホの利用状況やアクセス内容を確認できます。親が注意深く見ていればいいと思うし、それを認めるかどうかは親が決めるものであって、政府が決めるものではないと思います」

■オーストラリア在住の日本人にも影響

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影響を受けるのは、オーストラリアで暮らす日本人も同じです。家族の海外転勤で去年9月からシドニー郊外に住む、14歳の山内咲和(えな)さん。「ギターを弾くことが多いので、ギターの曲とか旅行のおすすめ動画を見るのが好きです」と言います。 そんな咲和さんが夢中になっているのが、Instagramです。「いいね!をつけてくれたり、コメントで返してくれたりするのは、話題の幅が広がるのでうれしい」 SNSの利用時間は1日1時間半にすると親と約束しているといいますが、足りないと感じる場面もあるようです。 咲和さん 「ママ、延長して」 母の佐和子さん 「インスタ延長?」 咲和さんは「あまり使いすぎたくないと思っているんですけど、気がつかないまま2時間とかたってしまったりするので気をつけたい」と話します。 佐和子さん 「スマホとの距離が、手にした時から近づきすぎている。ちょっと気になる、ちょっと気になると言って、食事中もスマホを出してきたり」

■娘「影響大」、母「一部ありがたい」

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まもなく、SNSの法規制が始まります。 咲和さんは「そこでしかつながっていない友達がいたり、そこで見たい情報が見られなくなるのは結構、自分的には影響が大きい」と言います。 母の佐和子さんは「一部ありがたい。ある意味、親に任されていた判断を上(政府)が決めてくれて、それに従わなければならないから」と語ります。

■規制の実効性に疑問の声…課題も

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ただ、法規制をめぐっては課題もあります。政府は年齢の確認についてSNS運営会社に求めていますが、各社ともその方法を明らかにしていません。 年齢確認には顔認証技術などが検討されていますが、顔のしわなどの情報から年齢を推定する技術を試してみると、実際の年齢と異なる結果が出ることもあります。 富永大介記者 「45歳という結果が出ました。実際は43歳なので、ちょっと老けた結果になりましたね」 このように、年齢確認に不備があれば16歳未満でもアカウントを作れてしまうなど“抜け穴”は残っていて、規制の実効性に疑問の声が上がっているのが現状です。■豪で多くの人が利用するアプリ

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一方、SNSの禁止とは別に、オーストラリア国内で「使い方を考えよう」という動きが広がっているものがあります。 ある20代の女性が交際相手と使っているのは、お互いの位置情報を共有するアプリです。「いま、彼は家に着きました」「互いを100%信頼しています。安全対策として、行方不明になっても確認できるように」と女性は言います。 6人のグループに、位置情報共有アプリを使っているか尋ねると、4人が使っていると答えました。 オーストラリアでは比較的多くの人が位置情報共有アプリを使用しているといいいますが、使っていない女性は「悪い結果につながりかねないと思う。すぐにストーカー行為に発展するかもしれません」と不安を口にします。 政府機関は、位置情報の共有が支配的な関係につながりかねないとも指摘。その上で、位置情報を共有するかどうか、子どもの時から家族で話し合うことがプライバシーや「同意」の考え方を育むことにつながる、ともしています。

■デンマークでもSNS規制を検討

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SNSをめぐっては、デンマークやニュージーランドなどでも若者の利用の規制が検討されています。 便利な裏に、危険も潜むSNS。その付き合い方について、日本でも一人ひとりが考える必要がありそうです。 (11月19日『news every.』より)

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