中国の切ったカードは所有している米国債を市場に売りに出すこと。簡単なことだ。
日本は最大の米国際保有国。だが、アメリカからは属国扱いなので、危惧されていないしカードにも使えないということなのだろう。
Yahoo!より、
習近平は「アメリカの急所」を突いた…トランプ政権が中国との”関税戦争”にあっさり敗北した理由
5/14(水) 7:17配信 PRESIDENT Online

記事より、
■にわかにリスクオンに沸く金融市場 金融市場がリスクオンムードに沸いている。ドル円レートは一時140円台を割り込んだが、150円が視野に入る円安となった。5月12日に米国と中国が関税措置で合意に達したことを受けて、両国のみならず世界経済に対する下振れが緩和されるとの期待が高まったためだ。ここで、これまでの事態の推移を簡単に振り返ってみたい。米国のドナルド・トランプ大統領は、4月3日に意気揚々と「相互関税」の詳細を発表したが、直後の金融市場、特に債券市場の反応を受けて、同月9日に90日間の執行延期に追い込まれた。もともとトランプ大統領は、いわゆる「ディール」を好んでいるし、トランプ政権ブレーンらも、交渉のための猶予は設けるつもりだったのだろう。 とはいえ、有事の際に買われるはずの米国債が売られた事実は、政権ブレーンにとって「想定の範囲外」だったはずだ。貿易・製造業担当上級顧問を務めるピーター・ナバロ氏や大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長であるスティーブン・ミラン氏らに代わり、スコット・ベッセント財務長官が表に出てきた理由も頷けるところである。 トランプ政権にとって追加関税の最大のターゲットは中国だったわけだが、米国債が売られたことで、このゲームは中国に有利な展開となった。4月上旬に米国から資本流出が生じた際には、中国政府なり傘下の政府系金融機関が、米国政府を圧迫すべく、保有している米国債を売却したとまことしやかに伝えられている。 真偽はともかくとして、追加関税の問題が解決しなければ、中国が本気を出して米国債を売る展開が意識される。仮にそうならなくても、その思惑だけで債券市場はパニックに陥ること必至である。こうした危機感を急速に高めたからこそ、ベッセント財務長官らは中国の何立峰副首相との間で合意を取り付けようと躍起になったのだろう。
🇯🇵 日本語のコメント
中国がアメリカの関税圧力に対して切ったカードは、米国債の売却。これは非常に効果的な“金融の圧力”であり、日本も理屈の上では同じカードを持っています。
しかし、日米関係において日本は「経済的従属」に近い構図にあるため、このカードを外交戦略として切る気配すら見せません。むしろ、米国の経済政策に従順に追従しているのが現状です。
今回のケースは、中国が「相互依存」という現実を逆手にとって、“市場心理”を揺さぶる手法を使った好例。実際に売らなくても、「売るかもしれない」という思惑だけで債券市場は動揺します。
日本も最大の米国債保有国として、その存在が単なる“協力者”ではなく“対等なパートナー”であることを示す交渉カードを持っているはずです。使うかどうかは、覚悟と戦略の問題です。
🇺🇸 English Comment
China’s move to counter U.S. tariffs by signaling a potential sell-off of U.S. Treasury bonds is a textbook example of economic deterrence through financial leverage.
In theory, Japan—being the largest holder of U.S. Treasuries—holds the same card.
But in practice, Japan rarely treats its holdings as a diplomatic tool, largely due to its subordinate stance in U.S.-Japan economic relations.
China’s strategy didn’t even require actual action. The mere expectation of a sell-off rattled U.S. bond markets. It shows how perceived financial moves can be just as powerful as real ones.
Japan could learn from this. It’s not about antagonizing the U.S., but about recognizing and exercising strategic autonomy when needed. Possessing leverage but never using it is no different from not having it at all.
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