スマホ新法という表現には違和感しかない。
正式には、
スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律
という。
特に、スマホとセットになったブラウザーやアプリストアに対するもの。
要するに今の独占禁止法では、このようなものが取り締まれないということなのだが、本来、独占禁止法の改正が必要だろう。
なお、情報セキュリティ上は問題も多い。
Apple Storeとグーグルプレイストアを一緒くたにするなと思うが、Apple Storeではアプリの検閲をすることで、クオリティとセキュリティを守っている。
利用者のリテラシーの問題がますます問われるようになったということだ。
自由にはその代償が必要。
Yahoo!より、
スマホ新法、きょう施行 Google Playの“課金”周りはどう変わる? 変更点を整理
12/18(木) 5:05配信398

スマホ新法は独占禁止法なのか?──違和感の正体とセキュリティの行方
スマホ新法という呼び方への違和感
「スマホ新法」という言葉には、どうにも引っかかるものがある。
あたかもスマートフォンという“端末”そのものを規制する新しい法律のように聞こえるからだ。
正式名称は次のとおりである。
スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律
対象はスマホそのものではない。
スマホに標準搭載され、事実上セット販売されてきたブラウザー、検索エンジン、アプリストア、課金システムである。
つまり「スマホ新法」とは、
アプリ市場・ソフトウェア市場における競争政策であり、
本質的には 独占禁止法の射程に関わる問題だ。
なぜ「新法」が必要だったのか
そもそも疑問はここにある。
なぜ独占禁止法の改正ではなく、
別立ての「スマホ新法」が必要だったのか。
理由は単純で、
現行の独占禁止法では、プラットフォーム型独占を十分に取り締まれないからである。
- OSとアプリストアが一体化している
- 初期設定・デフォルト設定が競争を事実上排除する
- 課金システムが囲い込まれている
これらは従来型の「価格カルテル」や「排他的取引」とは性質が異なる。
結果として、独禁法の“想定外”にあった独占が放置されてきた。
スマホ新法は、その穴を埋めるための 機能別・業界別の競争規制だと言える。
実質的に狙い撃ちされるAppleとGoogle
スマホ新法の対象は抽象的だが、
実質的な影響を受けるのはAppleとGoogleの2社である。
Yahoo!ニュース(ITmedia NEWS)によれば、同法は次の点を義務化する。
- サードパーティ製アプリストアの開放
- 課金システムの選択肢拡大
- ブラウザ・検索エンジンの選択画面(チョイススクリーン)表示
- アプリ内から外部Web決済への誘導容認
これにより、開発者は
アプリ内課金に縛られず、手数料を抑えた決済手段を選べるようになる可能性がある。
一方で、Googleは説明会で
「外部Web誘導に対しても手数料を課す参加型プログラム」を示しており、
本当に開発者の負担が軽くなるのかは不透明だ。
「公正取引委員会のルールではフィーを求めることは可能」
というGoogle側の説明は、
スマホ新法が “競争を完全に自由化する法律ではない” ことを象徴している。
出典:
Yahoo!ニュース(ITmedia NEWS)
https://news.yahoo.co.jp/articles/882448996fcf31dbec13dae1a6e864d29b05f709
最大の論点:セキュリティはどうなるのか
ここで見落としてはならないのが 情報セキュリティの問題である。
AppleのApp StoreとGoogle Playを
単純に「巨大プラットフォーム」として一括りにするのは危険だ。
Apple App Storeの特徴
- 厳格なアプリ審査(検閲)
- 品質とセキュリティを重視
- 利用者側のリスクを一定程度吸収
Appleは自由を制限する代わりに、
利用者の安全性を高いレベルで担保してきた。
これに対し、
サードパーティ製アプリストアの全面開放は、
- マルウェア混入リスク
- フィッシング誘導
- 不透明な課金・決済
といった 新たなリスクを確実に増やす。
問われるのは「利用者リテラシー」
スマホ新法は、
「企業の自由」を拡張する法律であると同時に、
利用者にリスク管理を委ねる法律でもある。
- どのストアを使うか
- どの決済手段を選ぶか
- どのアプリを信頼するか
これらは、
これまでプラットフォーム側が肩代わりしてきた判断だ。
自由には必ず代償がある。
競争促進の名の下で、
その代償を誰が負担するのか。
答えは、これまで以上に 利用者自身になる。
結論:本来は独禁法改正が筋だったのではないか
スマホ新法は、確かに現実的な対応ではある。
しかし同時に、こうも言える。
本来必要だったのは、独占禁止法そのもののアップデートではないか。
デジタル・プラットフォーム時代に対応できない独禁法を温存したまま、
分野別の「新法」を重ねていくやり方は、制度の分断を生む。
スマホ新法はゴールではない。
デジタル時代の競争政策をどう再設計するかという、
より大きな議論の入口に過ぎない。
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