令和6年能登半島地震から3年になろうとしている。
未だに、住宅が決まらないと言う人が多い。決まった人というのは地区外に移転した人、もしくは、自宅を補修・改修した被災者だろう。
大地震が起きると、避難所→仮設住宅(被災者の6割程度まで入居)→公営住宅など(6割のうちの25%程度)と自力再建となる。
問題となるのはいつも用地の確保。
特に建設型の仮設住宅などは貴重な土地を消費してしまう。この記事にもあるように、応急仮設住宅の人の住まいが別途確保できないといつまでもその土地は将来の活用ができない。
この悪しきパターンから逃れるには、公費解体などを進めるのではなく、とにかく補修と改修を進めることだ。安全のための耐震補強をしながら、今の道路のまま、補修と改修をするめるというのはもっともシンプルな方法。
結果的にコストが最小になり、また、被災者の心理的な負担も最も少ない。
早く、これまでの新規建設型から改修型の復興にカジを切るべきだろう。
Yahoo!より、
集団移転で集落に明暗…能登各地に避難し意見集約できず断念、完成2年以上先「住民待ち続けられるか」
12/25(木) 5:01配信読売新聞オンライン

令和6年能登半島地震の復興は「建てる」より「直す」べき理由
改修中心の復興こそが最短で、人を戻し、地域を守る
要約
令和6年能登半島地震から間もなく3年が経とうとしている。しかし被災地では、いまだに住まいが決まらない人が多く、仮設住宅や地区外避難が長期化している。
なぜ復興はここまで遅れるのか。
結論から言えば、「新しく建てる」ことを前提とした復興モデルそのものが、スピード・コスト・心理のすべての面で限界に達しているからである。
今後の復興の軸は、「新設」ではなく補修・改修を中心とした復興へと転換すべきだ。
復興が遅れる本当の理由は「住宅」ではなく「土地」にある
大規模災害後の住まい再建は、一般に次の流れをたどる。
避難所 → 仮設住宅(被災者の約6割が入居) → 災害公営住宅や集団移転(仮設入居者の約25%) → 自力再建
この流れで常にボトルネックになるのが用地の確保である。
とりわけ建設型仮設住宅や集団移転は、新たな土地を大量に消費し、
しかも一度仮設が建つと、住民が退去するまで次の土地利用に進めない。
結果として
- 住宅は「建てた」が住民は戻らない
- 土地は「使った」が地域は再生しない
という二重の停滞が起きる。
Yahoo記事が示す「集団移転モデル」の限界
読売新聞オンラインの記事が示す通り、集団移転は理論上は合理的でも、現実には次の問題を抱える。
- 住民が各地に分散避難し、合意形成が極めて難しい
- 高齢者ほど移転の決断に時間がかかる
- 造成・インフラ整備に数年単位の時間がかかる
- 完成を待てずに地区外定住が進む
- 結果としてコミュニティが解体される
実際、輪島市打越町では合意形成が進まず計画が頓挫し、住民はバラバラに流出した。
一方、白丸地区のように移転が比較的スムーズに進んだ例はあるが、それは「例外的成功」であり、標準モデルとして展開できるほど再現性は高くない。
なぜ「改修中心の復興」が合理的なのか
① 最も早い
既存の住宅を補修・耐震改修すれば、用地取得・造成・インフラ整備が不要で、着手までの時間が圧倒的に短い。
② 最も安い
新設より改修の方がコストは低く、同じ予算でより多くの世帯を再建できる。
③ 最も心理負担が少ない
住み慣れた場所、近所、墓、神社、景観から離れずに済む。
高齢者ほどこの効果は大きい。
④ コミュニティを壊さない
移転は人を動かすが、改修は人を戻す。
復興の本質は「建物」ではなく「人の帰還」である。
「危険だから壊す」ではなく「安全に直す」への転換を
公費解体を優先する復興は、一見安全で迅速に見えるが、実際には
- 人を散らし
- 土地を遊休化させ
- 再建意欲を削ぎ
- 人口流出を固定化する
結果になりやすい。
これを避けるには、**耐震補強と改修をセットにした「安全な現地復興」**を原則にすべきである。
道路線形を変えず、宅地造成をせず、建物を直す。
これが最もシンプルで、最も早く、最も持続可能な復興モデルである。
結論:復興は「建設事業」ではなく「生活再建事業」である
復興とは、住宅を建てることではない。
人が戻り、生活が再開し、地域が続くことである。
そのためには、従来の「新設型復興」から「改修型復興」へ、明確に舵を切る必要がある。
早く、安く、確実に人を戻す。
それができるのは、改修を中心にした復興だけである。
能登の復興は、次の災害の教訓にもなる。
「建てる復興」から「直す復興」へ。
それが、これからの日本にとって最も現実的な選択である。
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