日本円は国内での流通が多いので紙屑にはならない

日本円について語っているのだが、海外と日本の状況は異なる。

極端に日本円が紙屑にならないのは異次元緩和が可能になっていることからも自明。

少し分析が甘いと思う。

Yahoo!より、

日本円の「紙くず化」は避けられない…「消費税減税」でも「給付金」でも参院選の後は増税地獄が待っている

7/16(水) 17:17配信PRESIDENT Online

日本円の「紙くず化」は避けられない…「消費税減税」でも「給付金」でも参院選の後は増税地獄が待っている(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース
しかし政治家は、特例公債法を制定し、財政法第4条で禁止されている赤字国債をほぼ自由に発行できるようにした。更に日銀が長期国債を爆買いし、政府がどんなに国債を発行しようと長期金利が上昇させない財政フ

記事より、

 しかし政治家は、特例公債法を制定し、財政法第4条で禁止されている赤字国債をほぼ自由に発行できるようにした。更に日銀が長期国債を爆買いし、政府がどんなに国債を発行しようと長期金利が上昇させない財政ファイナンスを開始してしまった。  今、日本には政治家の暴走を食い止める警報が存在しない。これらの仕組みがあれば政治家が、「減税、給付金」を口にした途端、長期金利が急騰し、政治家はそれらの主張をすぐに引っ込めていたに違いない。

■「インフレ増税」が待っている  財政再建をなすには3つの道がある。①戦争で他国の資産を奪い取るか、②増税をするか、もしくは③見えない形の税金であるインフレを起こすか、である。  ①は論外であり、②もここまで借金がある現状では難しい。となると③の方法しかない。  これを経済学ではインフレタックス(インフレによる債務圧縮)と呼ばれている。インフレは債権者(お金を貸している人)から債務者(お金を借りている人)への実質的な富の移行である。  日本において債権者は国民であり、日本一の借金王は国である。  例えば、こう考えると分かりやすい。1000万円を借りている個人タクシーの運転手さん(債務者)は、インフレでどうなるのか。初乗り運賃が100万円というハイパーインフレとなれば、お客さん10人を乗せるだけで借金が完済できる。大喜びだ。  一方、汗水たらして10年間で1000万円貯めた人(債権者)はタクシーに10回乗ったらすべてを失う。その意味で、インフレは債権者から債務者への実質的な富の移行なのだ。国民から国への富の移行であるから税金と同じである。  結論を皮肉的に言うと、ただでさえインフレ税が発生しつつあるのに、今回の参議院選挙では、ほぼ全政党が(理解しているとは到底思えないが)「減税」「給付金」を主張し、結果としてインフレ税増税を狙っていることになる。

■このままではマーケットが黙っていない  その結果、「究極の財政再建」が達成される。  しかし国民生活には地獄である。給料や年金は毎月上がるが、パンの値段は毎時間上昇する。もらった給料や年金では1日か2日でなくなってしまう。  それは国民にとって幸せな結論なのか?  自分たちが選んだ政治家だからとあきらめるのか?

📝 日本語版コメント

この記事の主張には一理ありますが、「日本円が紙くずになる」といった表現には過剰な煽りが含まれており、冷静な分析が必要だと感じます。

そもそも、日本円は発行額の約9割以上が国内で流通しているとされています(日本銀行「通貨流通高」統計等に基づく推計)。外貨建ての債務が少ないことも相まって、為替市場の影響を比較的受けにくい内需型の通貨構造が特徴です。

このような背景のもと、日本銀行はこれまで異次元緩和と呼ばれる政策(量的・質的金融緩和)を進めてきましたが、それでも急激な円暴落が起きていないのは、円に対する国内での信認が比較的強いためです。

もちろん、将来的にインフレ圧力が高まり「インフレ税」的な債務調整が起きるリスクは否定できません。しかしそれは「日本円が紙くずになる」という極論とは別の議論です。むしろ、国内経済構造や政治の運営姿勢の方が中長期的には影響が大きいと言えるでしょう。

日本の通貨・財政政策を語るには、海外経済との違いや日本独自の金融制度・通貨需要の構造を踏まえた分析が不可欠です。


📝 English Version (Comment)

The article raises a valid concern, but the suggestion that “the Japanese yen will become worthless” feels overly alarmist and lacks a balanced economic perspective.

In reality, more than 90% of Japanese yen in circulation remains within Japan, according to estimates based on Bank of Japan statistics. Combined with Japan’s relatively low level of foreign-denominated debt, the yen maintains a domestically anchored currency structure that is less susceptible to exchange market volatility.

Under such conditions, the Bank of Japan has pursued unprecedented monetary easing policies for years. Yet, a rapid collapse of the yen has not occurred—mainly because confidence in the yen remains relatively strong within the domestic economy.

Of course, rising inflationary pressure and the risk of so-called “inflation tax” cannot be ruled out in the long term. However, this is a very different matter from claiming that the yen will become “worthless.” In fact, Japan’s internal economic structure and political management will have far greater long-term effects on its fiscal sustainability.

Any discussion of Japan’s monetary and fiscal policy must consider the distinctive nature of Japan’s domestic currency circulation and financial framework, especially in contrast to other economies.

参考


🇯🇵 日本円と米ドルの比較

指標日本円米ドル
発行額の国内流通率約90%以上約40%以下
通貨の役割主に国内決済用国際基軸通貨
海外利用の広がり限定的世界中で流通
外貨準備通貨としての比率約5%未満(IMF統計)約60%前後(IMF統計)

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